「パリに行った方がいいよ、僕も一緒に行きたかった」、それが最後の言葉でした。
パリ映画祭に招待された当初、私はお断りしようと思っていたんです。映画の世界を離れて久しい私が、そのような立派な舞台に立つことは、おこがましくもあ
るし、どこか気恥ずかしさもあるし。だけど、団さんはそんな私の心情などお構い無しに「ナオミがどう思っていようが、映画がまた上映されるってことは、今
も君は女優なんだよ。一緒にパリへ行こうよ」って。団さんにそんな誘われ方したら無碍に断ることなんてできないし、それに確かに団さんと歩くパリの街は、
想像しただけで魅力的。結局、根負けして、7月2日、二人一緒にパリ行きの便に乗る約束をしたんです。
7月2日、私はひとりでパリへと発ちます。団さんがお話を作って、私が演じた映画を、もう一度だけ観に。
谷ナオミ
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| — | 追悼 団鬼六氏 |